JDへの道 No.126 夏休み 02 |
土曜日の朝9時過ぎ。
ニューヨークの法律事務所で研修を始めてから、2週間が経ちました。まだ初歩的なことしかやらせてもらってませんが、徐々に仕事に慣れてきました。研修先の上司とも仲が良くなり、今週は毎日お昼に連れて行ってもらいました。
研修中、僕たち学生はサマー・アソシエイトと呼ばれています。僕の研修先に限らず、夏休みの間、米国の法律事務所で研修しているロースクールの学生は、どこの法律事務所でもほぼ間違いなくサマー・アソシエイトと呼ばれています。以下、簡単にこの名前の由来について説明してみたいと思います。
伝統的に米国の法律事務所は法人ではなく、組合(パートナーシップ)として組織されてきました。近年、組合以外の法律事務所も増えてきましたが、そのような法律事務所も、もともとは組合として始まってたケースが多いです。
この名残で、実際に法律事務所が何らかの組合であるかどうかに関わらず、通常、米国の法律事務所には、パートナーとアソシエイトという2つのランクの弁護士しか存在しません。法律事務所が組合として組織されている場合、パートナーとは事務所の共同経営者のことを指し、彼らの給料はそれぞれのパートナーシップの割合によって決まります。一度パートナーになると解雇される可能性はほとんどなく、年収は一気に跳ね上がります。
アソシエイトは日本の会社でいう平社員に相当し、通常、入所してから8年から10年ほど、この立場で働くことができます。彼らは入所してから8年から10年前後でパートナーへの昇進審査を受けます。パートナーに昇格できるかどうかは、事務所内の競争を勝ち抜くだけでなく、その時々の経済状況が大きく影響します。例えば、2008年の夏に起きたリーマン・ショック以降、未だに多くの法律事務所で、アソシエイトからパートナーへの昇格が見送られています。いくら優秀でも、景気が悪いとアソシエイトからパートナーへの道は閉ざされてしまいます。
パートナーやアソシエイトに対して、夏休み中、法律事務所で研修をしている学生はサマー・アソシエイトと呼ばれています。僕たち学生は夏休みの間だけ、アソシエイトと同等の扱いを受けるので、このように呼ばれています。正確には、サマー・アソシエイトの扱いは入所したての1年目のアソシエイトと同じで、僕たち学生には、彼らと同じようにオフィスが割り当てられ、同額の給料が週割りで支払われます。
サマー・アソシエイトの扱いは入所したての1年目のアソシエイトと同じと書きましたが、それは割り当てられる業務についても当てはまります。研修中、僕たちサマー・アソシエイトは簡単な文書の作成やリサーチなど、入所したての1年目のアソシエイトと同じような業務をこなします。彼らと同じように深夜遅くまで働くことは要求されませんが、事務所が忙しいときは僕たちサマー・アソシエイトも帰宅時間が遅くなることがあります。
ニューヨークでの研修も残りあと3週間となりました。毎日が適度に忙しいので、時間があっという間に過ぎていきます。残りの3週間も、充実した日々を送りたいです。