JDへの道 No.78 夏休み 05 |
金曜日の午後3時半頃。
今週の月曜日から北京に滞在しています。こちらの大通りは片側4車線で、車やバスに加えて、バイクと自転車が縫うように走っています。大きな道路の両側はまさに建設ラッシュといった感じで、あちこちで高層ビルの建設が進んでいます。滞在先のホテルの近くのショッピングセンターにはアルマーニやシャネルが大きなお店を出していますが、そのすぐ近くにあるバス停の横では、数十円でお腹いっぱいの朝ごはんを買える屋台が忙しそうに料理を作っています。
ショッピングセンターを少し離れると、上半身裸で将棋をしているおじさんたちの横を、ひと目でブランドものと分かるワンピースを着たOLたちがカチカチとヒールを鳴らしながら歩いています。道路に目をやると、父親と子供を乗せたスクーターが車の間の走っています。あらゆる階層の人が同じ場所で同じ空気を吸っている、それが僕の北京の印象です。
僕は北京の大手法律事務所で4週間に渡ってインターンをするために、ここ北京にやってきました。滞在先のホテルは、事務所から徒歩で5分くらいのところにあるます。このホテルが主に現地の人を相手にしているのは宿泊料を見れば明らかです。ホテル内の標識や案内は中国語と英語の2ヶ国語表記になっていますが、ホテルではほとんど全く英語が通じません。今日で宿泊して5日目になりますが、外国人宿泊客に遭遇したことは1度もありません。
インターン先では英文のメモを書いたり、リサーチをしたりています。仕事は興味深いものばかりですが、それ以上に僕が楽しみにしているのは、事務所の弁護士やスタッフとの昼食の時間です。昼食時、彼らは、僕に自分たちの生い立ちに加えて、急速に成長するこの国でどのようなキャリアを築いていきたいかを話してくれます。自分と同世代の中国人が一人っ子政策のもとで親のプレッシャーを感じながら過ごした過去や高級車を乗り回す同年代の友人や知り合いに対して持っている憧れなどについて聞くと、著しく成長するこの国の現状がリアリティーをもって迫ってきます。
インターン先の法律事務所で働いている同世代の中国人と接して、僕は改めて日本海の向こう側には全く違う世界がある、ということに気付かされました。しかし、彼らと仲良くなってみて、彼らも日本や米国にいる僕の友人と同じようなキャリヤやプライベートに関する悩みを抱えていることを知りました。違う環境で育ってきた彼らとは一見、価値観が大きく異なるように思えますが、実は僕たちの価値観は思っているよりも近いのかもしれません。